昨年につづき、今年も、マレーシアにある日本大使館の皆さまとご一緒に、ezuのヒジャブをご紹介する機会をいただきました。
会場には、日本文化をテーマにしたさまざまな展示が並びました。着物の帯をアレンジした作品、日本の宮大工が手がけた神棚など、日本の伝統や技術を体現する品々。その中でezuは、マレーシアのムスリムの方々に向けたヒジャブを出展しました。
一般的なヒジャブは、化学繊維を使用し、手に取りやすい価格帯のものが多く流通しています。そうした中でezuのヒジャブは、天然繊維を使用し産地で織った刺繍織や手染めの作品なので高価格帯。決して日常使いの機能優先したコモディティではありません。
けれど私たちが目指しているのは、日本の伝統文化を丸ごと内包した一枚です。日本の繊維産地・桐生の1300年の歴史の中で培われてきた技術を背景に、ezuの衣服と同じ工程、同じ職人たちと制作したヒジャブ。形はヒジャブであっても、ものづくりの姿勢は一切変わりません。
今回のイベントには、マレーシアの財務大臣をはじめ、政府関係者や経営者など、国の未来を担う方々も来場されました。多くの方が足を止め、手に取り、「これは特別だね」「ぜひ使いたい」と声をかけてくださいました。中には、ご家族への贈り物として検討したいと話される方も。

その光景を見ながら、改めて感じたことがあります。
いいものは、国や宗教、文化を越えて伝わるということ。
当初は、国ごとに好まれる色や質感が違うのではないか、ローカライズが必要なのではないか、とも考えました。けれど、そうではありませんでした。ezuが本気で「いい」と思うものを、誠実に形にする。その本質が伝わるのだと、今回の反応が教えてくれました。
商品には、機能だけではない作り手の意識が宿ります。桐生という土地の歴史、職人との対話、時間をかけて重ねた工程。そうした背景が、言葉を超えて感じ取られているのだと思います。

今後の展望についても触れておきたいと思います。
ezuは桐生を拠点にものづくりを続けています。桐生は素晴らしい産地です。しかし、そこだけに閉じるのではなく、世界各地の手仕事と出会い、掛け合わせていくこともまた、私たちの挑戦です。
ネパールの手編みニット、モンゴルのヤクの毛、フィリピン・セブのパッチワークキルト、タイの少数民族のアクセサリー。それぞれの土地にしかない素材や技術、そしてその土地で育まれてきた空気や思想。それらと桐生を融合させることで、ezuの作品は「進化」していくと考えています。
ここでいう進化とは、先端化することではなく、より深まること。深化。
深く、濃く、豊かになること。
国や人種という枠を超えて、人間と人間が出会い、それぞれの場所でしか生まれないものを持ち寄り、掛け合わせる。そのプロセス自体が、ezuのものづくりの核なのです。
私たちがやっているのは、結局のところ「コミュニケーション」だと思っています。
桐生でつくることも、マレーシアでヒジャブを紹介することも、ネパールでセーターを編むことも。すべては、人と人が出会い、それぞれの背景を尊重しながら、新しいかたちを生み出していく営みです。
6月・7月には、マレーシアの西部百貨店さまとご一緒に、さらに大きなお披露目の機会も予定しています。これからも世界各地での挑戦を続けながら、その経験とエネルギーを、桐生へ、日本へ、そして世界へと循環させていきたいと思います。
国境を越えても変わらないもの。
それは、人が心から「いい」と感じる感性。
今回のイベントは、それを確信させてくれる時間でした。
