先日、ezu代表の岩野久美子が、桐生工業高校にて講演を行いました。
講演のテーマは、「作ることで、作る生き方」。
ものづくりを学ぶ高校生の皆さんに向けて、ezuというブランドがどのように生まれ、どのように続いてきたのか。 そして、ものを作ることが、自分自身の生き方を作ることにもつながっていくのではないか、というお話をさせていただきました。
服を作っているけれど、服を作っているだけではない
講演の冒頭では、ezuが大切にしているものづくりの姿勢についてお話ししました。
ezuは服を作るブランドです。
けれど、ただ服を作っているつもりではありません。
一着一着に、素材との出会いがあり、色や柄の選択があり、手を動かす時間があり、その時々の感覚があります。
同じものを大量に作るのではなく、
その時にしか生まれないものを、できるだけ正直に形にしていく。
その積み重ねが、ezuのものづくりです。
今回の講演では、実際にezuの服を会場へ持参し、生徒の皆さんに見ていただきながら、私たちがどのような考えで服を作っているのかをお伝えしました。

「参考にならない話」として、ひとつの人生を話す
講演の中で、まず生徒の皆さんにお伝えしたのは、
これから話すことは、きっとそのまま参考にはなりません。
ということでした。
それは、けっして冷たい意味ではありません。
誰かの人生を、そのまま真似することはできないからです。
ブランドの作り方にも、仕事の選び方にも、生き方にも、正解が一つだけあるわけではありません。
ezuもまた、一般的なブランドの成長モデルとは少し違う歩み方をしてきました。
山の上にある小さなお店。
週に限られた日数だけ開く場所。
一人の感覚や選択が強く反映された、属人的なものづくり。
かつては、それが「趣味のようなもの」と見られることもありました。
けれど、時代が少しずつ変わる中で、今ではそうした唯一無二のあり方や、人の感覚が強く宿ったものづくりにこそ、これからの事業やブランドのヒントがあるのではないかと感じています。
ものづくりは、自分を知るための時間でもある
桐生工業高校には、ものづくりを学ぶための設備や環境があります。
生徒の皆さんは、日々、技術を学び、素材に触れ、手を動かしながら何かを形にしています。
ものづくりは、何もないところから突然形が現れるわけではありません。
素材を選ぶ。
色を選ぶ。
形を決める。
手を加える。
やり直す。
また考える。
その一つひとつの選択の中に、自分の感覚や価値観が表れます。
だからこそ、ものづくりは「自分を知る時間」にもなります。
自分は何を美しいと感じるのか。
何に違和感を持つのか。
どんなものを作りたいのか。
どんな生き方をしたいのか。
それは、誰かに教えてもらうだけでは見つかりません。
自分で動き、体験し、選びながら、少しずつ見えてくるものだと思います。

自分の人生を、自分で作っていく
講演では、進路や仕事についてもお話ししました。
将来、デザイナーになりたい人。
建築に関わりたい人。
ブランドを作りたい人。
まだ何をしたいのかわからない人。
それぞれの段階があり、それぞれの迷いがあります。
けれど大切なのは、誰かの価値観だけで自分の道を決めてしまわないことです。
家族や先生、社会の中で「良い」とされている選択肢はたくさんあります。
もちろん、それらを選ぶことが悪いわけではありません。
ただ、その選択は本当に自分のものなのか。
自分はどう感じているのか。
自分はどんな時間を生きたいのか。
そう問いながら、少しずつ自分の人生を作っていくことができるのではないかと思います。
たくさんの生き方に触れること
今回の講演は、何か一つの正解を伝えるためのものではありません。
むしろ、
「こういう生き方もある」
「こういうブランドの作り方もある」
「こういう大人もいる」
と感じてもらうための時間でした。
たくさんの人生に触れることは、自分の人生を少し遠くから見るきっかけになります。
スマートフォンの中だけでも、たくさんの情報に触れられる時代です。
けれど、実際に人に会い、話を聞き、ものに触れ、場所を体験することには、やはり別の力があります。
自分の視野が広がる。
ものを見る角度が増える。
自分の価値観に気づくきっかけになる。
そんな時間を、今回の講演を通じて少しでも届けられていたら嬉しく思います。
ezuとして、これからも伝えていきたいこと
ezuは、服を作るブランドです。
けれど同時に、
ものづくりを通して、
自分らしく生きること、
自分の感覚を信じること、
人や社会との関わり方を考えることを、
これからも大切にしていきたいと考えています。
今回、桐生工業高校の皆さんと過ごした時間は、私たちにとっても、とても貴重な機会となりました。
お声がけくださった先生方、
そして真剣に耳を傾けてくださった生徒の皆さんに、心より感謝申し上げます。
ezuはこれからも、ものづくりの現場から生まれる言葉や感覚を、少しずつ届けていきます。
