color swatch

南仏で暮らしていたころの話。

まだ薄暗い早朝、家の近くのバス停に子どもたちを迎えに来るスクールバス。

「今日もたのしんで!」

と、見送りを済ませたあと、そのまま街中をゆっくり歩き抜け、地中海沿いまで散歩する。

海岸沿いを端から端まで歩き終える頃には、ジュワっと水平線から太陽がのぼり、水面には光があふれる。

立ち並ぶ建物は微妙な濃淡のテラコッタ。
橙色、蜜柑色、朱色、狐色、琥珀色……
まるでカラースワッチのようで、うつくしい。

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ザラっとした壁の表面に陽の光が滲むと、色が深みを増し、風で揺れる草木花々が影を落とす。

そんな景色を横目にレンガの石畳を進むと、いつもの市場が見えてくる。

漁師や農家の人たちが採れたばかりの、まだ瑞々しい食材を広いテーブルに並べ始める光景を眺めながら、今夜の夕食のメニューを考える。

買い物を済ませ、広場に出る。

すっかり行きつけとなり、顔を覚えてくれた店主から一杯のカプチーノを買う。

それを片手にまた歩き、ちょうど飲み終わるころ家に着く。

そんな朝の時間が日々のルーティンでした。

帰国してしばらくして、そんなことを思い出しながら描いたものが、この絵です。

のぼりたての太陽の光
テラコッタの濃淡
レンガの石畳
街の中で揺れながら咲く花々
そこで暮らす人々

穏やかな、好きな記憶です。

そんな絵で布をつくり、身につけられる形にしました。

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