モンゴルに来ています。
空が、大きい。
言葉にするとそれだけのことが、
ここでは一日中、目の前にあります。
草原はどこまでも続いていて、
大地から湧き出る水たまりが、空をそのまま映しています。
雲が動くと、地面の上を影が動いていく。
その影の速さで、風の速さがわかります。

ここへ来たのは、冬の素材に会うためです。
ヤクの毛。
羊のウール。
山羊のカシミヤ。
そしてラクダのキャメル。

どれも、マイナス40度にもなるこの土地の冬を、
動物たちが生き抜くためにまとっている毛です。
人はその毛を分けてもらい、
糸にして、編んで、冬を越してきました。
この暮らしのなかでしか生まれない素材と手仕事に会うため、
素材の生まれる場所や、制作しているアトリエを訪ねています。
かたちになるのは、セーターやカーディガン、靴下といった、冬のものたちです。

草原には、ゲルがぽつんと建っています。
家がひとつ、大地にひとつ。
夜になると天窓から灯りがもれて、
その上に、数えきれない星が広がります。
何もない、ように見えて、
ここにはすべてがあるのかもしれない。
そう思わせる場所です。

滞在中には、この土地の乳製品もいただきました。
ミルクを沸かしつづけてつくるもの。
ヨーグルトを加えて固め、型に入れて、乾かしたもの。
沸かしたミルクの表面に浮く油分を、時間をかけて集めた生クリーム。
テーブルにならんだひと皿ひと皿が、すべて牛やヤクのミルクから生まれています。
同じつくり方でも、型がちがえば表情が変わり、
砂糖が入るとやさしいおやつになる。
これらは、案内してくださった方のご家族が、
草原の暮らしのなかで手づくりしているものだそうです。

少し前、わたしたちはフィリピンの小さな島、
カオハガン島を訪ねました。
海に浮かぶ島の手仕事と、
草原の国の手仕事。
場所はまったく違うのに、
そこに流れているものは、同じ気がしています。
人の手と、時間。
効率とは遠い世界で、
ものがゆっくりと形になっていく。

世界の素晴らしい素材や手仕事を、
ezuのモノづくりを通して、日本のみなさまにとどけたい。
そして桐生で生まれる作品と文化を、
日本をはじめ、世界にもとどけたい。
行って、受け取って、
帰って、形にする。
その往復の中で、
人と人が、糸や布を介して静かにつながっていく。
そんな交流の一環として、いまモンゴルにいます。

冬のものが形になるのは、まだ先のことです。
けれど草原の風の中で、
その最初の一針が、静かにはじまろうとしています。
また、モンゴルの草原から、ご報告します。
その最初のご報告として、フェルトの工房を訪ねた様子を、
一枚のフェルトができるまで。モンゴルの手仕事を訪ねましたの記事に書きました。
そしてこの旅から、ものづくりがはじまっています。
33年のカシミヤ工場とは、カシミヤをはじめ、ウールやヤクの毛で、
ストールやセーター、カーディガンを。
フェルトの靴は、女性たちの組合に。
革のものづくりは、革の工房と。
帽子とバッグは、フェルトづくりのご夫婦の工房に。
なぜ、日本ではなくモンゴルでつくるのか。
その想いは、暮らしの循環がうむ、素材と手仕事の記事に書きました。
そして、この旅で教わった四つの毛の違いと持ち味は、
ウール、カシミヤ、ヤク、キャメル 草原の4つの毛のはなしの記事に。

そしてこちらは、夕暮れの草原と、ゲルでの滞在の様子を映した動画です。
合わせて、ご覧いただけると嬉しいです。
そして、この旅で出会った素材は、いま、現地の工房で布になりはじめています。ezuのカシミヤストールが織られていく様子です。