シルクは、蚕の繭から生まれる繊維です。桑の葉を食べて育った蚕が、自分の体を包むためにつくる小さな繭。そこからそっと引き出される糸は、一粒の繭で1,000メートルを超えるほどの長さがある、一本のつながった糸です。コットンやリネンが畑で育つ植物の繊維だとすれば、シルクは、小さな生き物が生み出す繊維。ezuでは、セーターや靴下など、肌のいちばん近くで働く作品に、この素材を使っています。
肌にいちばん近い繊維
シルクの糸は、人の肌に近いタンパク質でできています。だから、肌にのせたときのなじみがよく、チクチクとした刺激がほとんどありません。細い繊維のあいだにたっぷりと空気を抱え、湿気を吸っては外へ逃がすので、夏はさらりと涼しく、冬はあたたかい。断面がゆるやかな三角形をしていて、光をやわらかく反射するため、シルクならではの静かな光沢が生まれます。
ezuの服を長く着てくださっている方が、麻やシルクの服を身につけると「まず呼吸が楽になります」と話してくださったことがあります。肌は、私たちが思っている以上に、ふれているものを感じ取っているのかもしれません。肌のいちばん近くにある素材は、それほど深く、その人の一日に関わっています。
絹の街、桐生で
ezuのアトリエショップがある群馬県桐生市は、「西の西陣、東の桐生」と呼ばれ、古くから絹織物で栄えた街です。1300年つづく織物の産地で、シルクは特別なよそゆきの素材ではなく、職人たちの手もとにいつもある、暮らしのそばの素材でした。この土地でものづくりを続けるezuがシルクを使うのは、どこか自然な成り行きのように感じています。
呼吸するくつした
冷えとりの靴下は、内側がシルク、外側がコットンの二重構造です。天然繊維のなかでも特別な潤いを持つシルクを、通気性の高いコットンで包み込む。生産の難しいこの構造を、職人さんのひとつひとつの手作業で実現しています。
内側のシルクが足の湿気を受けとめ、外側のコットンが外へ逃がす。取り入れた空気を体温であたためながら、余分な湿気だけを発散していく。私たちはこの靴下を「呼吸するくつした」と呼んでいます。同じ構造のまま薄手に仕立てたタイプや、レッグウォーマーもあります。
素肌にふれるセーター
カラーフィールドセーターは、リネン、コットン、シルクを合わせたイタリアの糸で、天然繊維のみで編んでいます。セーターはチクチクするもの、と思われがちですが、この糸で編んだセーターは、素肌に直接着ても滑らかです。リネンの強さ、コットンのやわらかさ、そしてシルクの潤い。三つの繊維が、それぞれの持ち味で一着を支え合っています。
三つの素材、ひとつの考え
畑から生まれるコットンとリネン、小さな生き物から生まれるシルク。生まれる場所は違っても、自然の繊維で、肌にふれるものをつくりたいという考えは変わりません。リネンのことはリネンの記事に、コットンのことはコットンの記事に書きました。あわせてご覧いただけたら嬉しいです。
日々の暮らしのなかで、シルクをつかったezuの作品を長く深く楽しんでいただけることを願って、これからも制作を続けていきます。