リネン特有の”ネップ”天然素材が生み出す個性

リネン特有の”ネップ”天然素材が生み出す個性

リネンは、亜麻という植物から生まれる繊維です。人と布の歴史のなかでも最も古い素材のひとつで、4000年以上前から、人の暮らしとともにありました。ezuでは、ベルギー産のオーガニックリネンやイタリアリネンなど、上質なリネンを中心に、この古くからの素材を今日の服に仕立てています。

強くて、やわらかくなっていく素材

リネンの繊維は、天然繊維のなかでも特に長く、強いことで知られています。水を含むとさらに強さを増すので、洗うほどに傷むのではなく、洗うほどにやわらかく、肌になじんでいきます。吸水性と速乾性にも優れ、汗ばむ季節にはさらりと涼しく、乾きも早い。繊維に含まれるペクチンという成分が、リネン特有のやさしい光沢を生んでいます。

ezuの服を長く着てくださっている方が、「アンティークリネンのよう」と言ってくださったことがあります。フランスの古い布のような、時間に耐える力。強さと、やわらかくなっていく性質を併せ持つこの素材は、何年も洗いを重ねた先の姿まで含めて美しい素材だと、私たちは考えています。

リネンの値段は、どこで変わるのか

リネンには、手頃なものから高価なものまで、大きな値段の幅があります。その差は、おもに三つのところから生まれます。原料の産地と品質、糸の均一さ、そして織りにかける手間です。

亜麻は、涼しくて湿り気のある土地でよく育つ植物です。フランスからベルギーにかけての一帯や、アイルランドなどが良質な産地として知られ、そこで育った亜麻からは、長く、そろった繊維がとれます。長い繊維を紡いだ糸はなめらかで、毛羽やネップが少なく、時間をかけて丁寧に織ると、リネン特有のやさしい光沢と、やわらかな落ち感のある生地になります。いっぽう手頃なリネンの多くは、短い繊維を混ぜた糸を速い織機で織るため、ざらつきや透けが出やすくなります。

どちらが正しい、ということではありません。ただ、ezuは長く着て、育てていく服をつくっているので、年月に応えてくれるリネンを選びます。ベルギー産のオーガニックリネンをはじめとする、良質な産地の上質なリネン。強さとやわらかさを長く保ち、使い込むほどに体になじんでいく素材です。

やわらかく揺れる、藍色のリネンのドレス

リネン特有のネップとは?

リネンの生地には、表面に小さな“節(ネップ)”や、糸のかたまりが見られることがあります。これはリネン特有の繊維構造と製造過程から生まれるもので、完全に取り除くのは難しい要素です。

ezuが考えるリネンの魅力

私たちezuは、ネップをリネンの“欠点”ではなく、自然がつくる風合いそのものだと捉えています。整いすぎない、わずかな不揃い。そこに、リネンが育った土や環境の記憶を感じるからです。

化学的なプロセスを経て生まれる繊維とは違い、天然繊維であるリネンならではの素材感や植物らしさは、このネップを通してより深く伝わると考えています。

リネン生地のネップ(節)の表情

ネップを減らすための取り組み

とはいえ、不要な繊維の混入や極端なネップは、生地選びや製造工程の中でできるだけ減らせるよう工夫を重ねています。

化学的な処理を施せば完全に取り除くことも可能ですが、その分、耐久性が落ちたり、リネンが持つ自然の風合いが損なわれてしまいます。だからこそezuでは、素材本来の個性を生かした布づくりを大切にしています。

ネップとともに育てるリネン

ひとつだけ、お願いがあります。ネップを、ハサミで切らないでください。ネップは生地の糸とつながっているので、切ると地の糸まで切れて、穴やほつれの原因になります。どうしても気になるときは、針の頭のようなまるいもので、生地の裏側へそっと押し込むと、すこし目立たなくなります。

けれど、できれば、そのままで。ネップは使ううちに生地になじんでいきます。もしネップを見つけたときは、それがリネン本来の特徴であり、一つひとつ異なる“個性”だと受け止めて、服の変化、成長のひとつとして楽しんでいただけたら嬉しいです。

リネンとともにezuの服を形づくっている素材のことは、コットンの記事シルクの記事に書きました。リネンと同じ「麻」の名を持つ、遠い親戚のヘンプの記事も。ひとつの表で見わたせる、4つの天然繊維のはなしという記事もあります。あわせてご覧いただけたら嬉しいです。

使い込むほどに増すやわらかさや風合いと相まって、化学繊維にはない温もりを感じていただけるはずです。日々の暮らしのなかで、リネンで仕立てたezuの作品を長く深く楽しんでいただけることを願って、これからも制作を続けていきます。

ezu のリネン作品

リネンでつくった作品

ezuがリネンで仕立てている作品たちです。一点ものは、その時々で顔ぶれが変わります。この記事に書いたリネンの光沢や落ち感、そしてネップの表情を、作品のなかで見ていただけたら嬉しいです。

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