finger line hiensdress
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finger line ヒエン夫人のワンピース
絵を描く道具を使わず、指だけで描いたテキスタイル「finger line」で仕立てた一着です。
この形は、15年にわたって繰り返し作り続けてきた「ヒエン夫人のワンピース」です。
一着つくるとすぐに誰かのお気に入りになり、また一着つくるとまた誰かのもとへ。
そんなことを幾度も重ねながら、長く大切に想っていただいてきた形です。
はじまりは15年前。
まだいろいろなことが輪郭を持たず、ぼんやりとしていた頃、民族衣装や伝統衣服を学ぶためアジアを旅していました。
旅の途中、ハノイ空港で出会った一人の女性。向かいに座っていたその人が着ていたのは、お母さんの手作りという美しいドレスでした。
その人のために仕立てられた一着が本当によく馴染み、ただ美しいだけでなく気持ちまで宿っているように見えた、その光景に心を動かされ、家族を思って仕立てるようなぬくもりのある服を作りたいと強く感じました。
話をしているうちに、その人は嬉しそうに細部まで見せてくれ、スケッチまでさせてくれました。別れ際に教えてくれた名前がヒエン。
日本に帰ってから、その空港での時間を思い返しつつ、着やすさとドレープに何度も向き合って完成したのが、このワンピースです。
今回、その長く作り続けてきた形に「finger line」の線を重ねました。
指の腹、爪、指先。縦に、横に動かして描いた線が、白い地に、少しかすれた太さの揺らぎのまま重なります。「ひとの手はなんて便利にできているのだろう」と感じながら描いた柄は、お母さんの手から生まれたドレスの物語と、どこか響き合います。
裾周りは3メートル以上の贅沢な分量。歩くたびに生まれる柔らかなドレープが、豊かな空気をまといます。
左胸の7つの貝ボタンは静かな輝きを添え、白と黒だけの柄が、日常にも少し特別な日にも寄り添います。
