rest hiens dress
rest hiens dress
受取状況を読み込めませんでした
rest ヒエン夫人のワンピース
制作の合間、山のふもとのアトリエから森へ入り、倒れた樹に腰を下ろして目を閉じる。
風に揺れて擦れ合う葉の音、鳥たちのお喋り、ほどよい木漏れ日、土の匂いと少し冷えた空気。
森は、張り詰めた心をゆっくり均し、静かに整えてくれます。
その森が重ねてきた「時間」と「空気」を形にしたくて、目を閉じた瞬間に浮かぶ淡い色をオイルクレパスで幾重にも重ね、森で拾った枝で線を彫り起こして描いた原画。そこから生まれた手描きテキスタイル「rest」で、この一着を仕立てました。
この形は、15年にわたって繰り返し作り続けてきた「ヒエン夫人のワンピース」です。
一着つくるとすぐに誰かのお気に入りになり、また一着つくるとまた誰かのもとへ。
そんなことを幾度も重ねながら、長く大切に想っていただいてきた形です。
はじまりは15年前。
まだいろいろなことが輪郭を持たず、ぼんやりとしていた頃、民族衣装や伝統衣服を学ぶためアジアを旅していました。
旅の途中、ハノイ空港で出会った一人の女性。向かいに座っていたその人が着ていたのは、お母さんの手作りという美しいドレスでした。
その人のために仕立てられた一着が本当によく馴染み、ただ美しいだけでなく気持ちまで宿っているように見えた、その光景に心を動かされ、家族を思って仕立てるようなぬくもりのある服を作りたいと強く感じました。
話をしているうちに、その人は嬉しそうに細部まで見せてくれ、スケッチまでさせてくれました。別れ際に教えてくれた名前がヒエン。
日本に帰ってから、その空港での時間を思い返しつつ、着やすさとドレープに何度も向き合って完成したのが、このワンピースです。
今回、その長く作り続けてきた形に「rest」の森を重ねました。
張り詰めた心をゆっくり均してくれる森の静けさは、家族を思って仕立てるようなぬくもりから生まれたこの形と、どこか響き合います。
裾周りは3メートル以上の贅沢な分量。歩くたびに生まれる柔らかなドレープが、豊かな空気をまといます。
左胸の7つの貝ボタンは静かな輝きを添え、日常にも少し特別な日にも寄り添う一着です。
