リネン、コットン、ヘンプ、シルク 4つの天然繊維のはなし

リネン、コットン、ヘンプ、シルク 4つの天然繊維のはなし

ezuの服は、四つの天然繊維でできています。畑で育つ亜麻から生まれるリネン。綿花のわたから生まれるコットン。大麻という草から生まれるヘンプ。そして、蚕の繭から生まれるシルク。みっつは畑から、ひとつは小さな生き物から。生まれる場所は違っても、自然のなかで生まれ、いつか土に還る繊維であることは変わりません。

このページでは、四つの繊維の性質の違いをひとつの比較表にまとめました。それぞれの素材について詳しく紹介した個別の記事もありますので、以下にご案内いたします。

四つの繊維の生まれ

リネンは、亜麻という植物の茎から取り出される繊維です。人と布の歴史のなかでも最も古い素材のひとつで、天然繊維のなかでも特に長く、強い。洗うほどに傷むのではなく、洗うほどにやわらかくなっていきます。くわしくは、リネンの記事に。

コットンは、綿花の実がはじけて現れる、白いわたから生まれます。先の丸い繊維が肌をやさしく受けとめ、中心の空洞が空気を抱えて、夏は涼しく、冬はあたたかい。くわしくは、コットンの記事に。

ヘンプは、大麻という草の茎から取り出される繊維です。リネンと同じく茎から生まれる「麻」の仲間で、日本では一万年ものあいだ使われてきた、いちばん古い繊維。天然繊維のなかでも指折りに丈夫で、着るたびにやわらかく育っていきます。くわしくは、ヘンプの記事に。

シルクは、蚕が自分の体を包むためにつくる繭から、そっと引き出される糸です。人の肌に近いタンパク質でできていて、肌にのせたときのなじみは、四つのなかでいちばんかもしれません。くわしくは、シルクの記事に。

一枚の表にすると

どれが優れているかを決めるための表ではありません。四つの素材の違いを見くらべながら、それぞれの繊維に、それぞれの得意な持ち場があることを知っていただくための表です。

リネン
コットン
ヘンプ
シルク
生まれ
リネン亜麻という植物の茎
コットン綿花の実からのぞく白いわた
ヘンプ大麻という草の茎
シルク蚕が身を包むためにつくる繭
肌ざわり
リネンさらりとして、張りがある
コットンふんわりと、やわらかい
ヘンプシャリっとした、独特のハリ
シルクなめらかで、しっとりしている
暑い季節
リネン汗をすばやく吸って、すぐ乾く。四つのなかでいちばん涼しい
コットン汗をよく吸い、蒸れにくい
ヘンプ湿気をすばやく吸って乾き、風をよく通す
シルク湿気を吸っては外へ逃がし、さらりと涼しい
寒い季節
リネンあたたかさは控えめ。重ね着の内側で
コットン空洞に空気を抱えて、あたたかい
ヘンプ季節を選ばず、一年を通してはたらく
シルク細い繊維のあいだに空気をたっぷり抱え、軽くあたたかい
水との相性
リネン水を含むとさらに強くなる。洗うほどやわらかく
コットン濡れると強くなり、日々のお洗濯によく耐える
ヘンプ濡れると強さを増す、たのもしい繊維
シルク水にはすこし繊細。やさしい手洗いを
時間とともに
リネン使い込むごとに、肌になじんでいく
コットン体の形をおぼえて、風合いが増していく
ヘンプ硬さがほどけて、とろみが出てくる
シルク丁寧に付き合うほど、潤いと光沢が長く続く
気をつけたいこと
リネンしわになりやすい。表面に小さな節(ネップ)が現れる
コットン縮む性質がある。ezuでは、お湯の熱で先に縮ませてから仕立てています
ヘンプおろしたては硬め。そこから身体に合わせて育てていく
シルク強い日ざしと摩擦にすこし弱い

「弱さ」と呼ばれるものについて

素材の比較記事では、しわや、縮みや、繊細さは、たいてい「デメリット」の欄にまとめられています。私たちは、それらを欠点ではなく、その繊維の性質だと考えています。

リネンのしわとネップは、化学的な処理をすれば取り除くこともできます。けれどその分、繊維は傷み、自然の風合いが失われてしまう。コットンの縮みは、薬品で抑え込むのではなく、お湯の熱で先にじゅうぶんに縮ませておくことで、届いたあとの服が縮まないように設計しています。ヘンプの最初の硬さは、これから着る人の身体に合わせて育っていくための、伸びしろです。シルクの繊細さは、これが小さな生き物の生み出した繊維であることの、そのままの証です。

リネン生地のネップ(節)の表情

性質は、直すものではなく、寄り添うもの。完璧な素材は、ありません。人と同じです。ezuは、一人ひとりが違うまま生きられる状態を、いちばん美しいと考えてきました。素材も同じで、それぞれの性質が違うまま生かされているとき、布はいちばん豊かな表情を見せてくれます。

この考えは、繊維にとどまりません。ezuの服を留めているのは、厚みも光り方も一粒ずつ違う、天然の貝のボタンです。一粒一粒に気を向けるものづくりのことは、貝ボタンの記事に書きました。

素材は、競わない

それでは、四つのうち、どれがいちばん良い素材なのでしょうか。ezuは、この問いに答えを持っていません。持ち場が違うだけだからです。

冷えとりの靴下では、特別な潤いを持つシルクが足にいちばん近い内側に、湿気を外へ逃がすコットンがその外側にいます。

シルクとコットンの二重構造でつくる冷えとりの靴下

カラーフィールドセーターでは、リネンの強さと、コットンのやわらかさと、シルクの潤いが、一本の糸のなかで支え合っています。比べてどちらかを選ぶのではなく、それぞれの持ち味が生きる場所に置く。素材との付き合い方は、人との付き合い方と、あまり変わらないのかもしれません。

ヘンプは、コットンと半分ずつの生地になって、シャツやパンツ、コートを支えています。ヘンプが服の骨格とハリを、コットンがやわらかな肌ざわりを。ここでも、ふたつの持ち味が一枚の生地のなかで働いています。

リネンコットンシルクの糸で編んだカラーフィールドセーターの編み地

ひとつの素材が、一枚の服をまるごと支えることもあります。藍染めのヒエン夫人のワンピースは、オーガニックリネン100%。張りと強さを併せ持つリネンが、その持ち味のまま、たっぷりとしたドレープの一着になっています。

オーガニックリネン100%で仕立てた藍染めのヒエン夫人のワンピース

シルクとおなじように、生き物から分けてもらう毛の繊維もあります。モンゴルの旅で教わったウール、カシミヤ、ヤク、キャメルのことは、草原の4つの毛のはなしの記事にまとめました。

日々のお洗濯やお手入れのことは、お洗濯とお手入れについてのページにまとめています。

四つの繊維とともに仕立てたezuの作品を、日々の暮らしのなかで長く深く楽しんでいただけることを願って、これからも制作を続けていきます。

糸を、一枚の布にする二つの方法のことは、「編み」と「織り」の違いの記事に書いています。

記事執筆:ezu編集部
監修:岩野久美子(ezu designer)

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