felt hat
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フェルトの帽子
羊毛を縮絨させて、一枚の布から継ぎ目なくつくった、縮絨ウールの帽子です。糸に紡がず、毛のまま湯と石けんで押し固める。モンゴルで帽子づくりを続けてきたご夫婦の工房で、はじめから終わりまで、手だけでつくられています。
奥さんがフェルトをつくり、ご主人が固める。ご夫婦は、こう言います。「最初は、お母さんの愛で、なでなでしてください。ある程度育ってきたら、お父さんの愛で、厳しく」。はじめに強く押すと繊維が絡まなくなるので、最初は手のひらでなでるようにやさしく。締めの段階に入ったら、力いっぱい、何度も何度も。
羊毛を型紙の上に、少しずつ向きを変えながら重ね、湯と石けんを含ませて、手のひらでこすりつづけること、およそ1時間。毛の表面のうろこが絡み合い、羊毛は縮みながら、一枚の布になっていきます。これが縮絨です。折り込みはすべて内側へ入れていくので、できあがった帽子には継ぎ目がありません。仕上げは木型。縮んだフェルトをかぶせ、湯を含ませて、手のひらで押さえながら丸みを決めていきます。
色は7色です。羊毛そのものの色に近いベージュと、ほんのり赤みを含んだピンクベージュ。白い毛の混じるライトグレー、炭のようなグレー、光を吸い込むようなブラック。そして、灰色の地に橙や青、緑の毛が散るマルチカラーオレンジと、橙や赤を主に青や緑の毛が混ざり合うマルチカラーレッド。混色の2色は、近くで見るほど、色が増えていきます。
この帽子は、かぶる人のところで完成します。ぬるま湯にひたして、しぼって、かぶりたい人の頭にかぶせて乾かすと、帽子のほうが、その人の頭の形とサイズに合わせてくれます。踏まれてつぶれても、置いておくだけで、空気と湿気でゆっくりと形が戻ります。
手で縮絨させたフェルトなので、一つひとつ、表情や大きさにわずかな違いがあります。ご夫婦の工房で過ごした時間のことは、一枚の毛から、帽子へに書きました。なぜモンゴルでつくるのかも、あわせてご覧ください。
フェルトのお手入れは、お洗濯とお手入れについての「動物繊維(獣毛・フェルト)の作品について」をご覧ください。
