ezuのデザイナー、岩野久美子は、石を拾う子どもでした。
「子どもの頃から石が好きで、変わった石を見つけると拾っていました。海で珍しい石やシーグラスを、河原できれいな模様の石を。原っぱで拾った石を家で金槌で割って、中を見てみたり。模様を眺めたり、石に絵を描いたり。いつか石を使って何かつくりたい、という思いがずっとありました」
その思いが、この秋、ネパールでかたちになりました。真鍮と天然石の指輪、【stardust】です。
真鍮のタグと、同じ工房で
つくったのは、カトマンズの金工の工房です。ezuの作品に付いている真鍮のezuタグを手がけた、あの工房。金属の縁で留めずに石をはめこむ、精緻な技を持つ職人たちです。工房と出会った日のことは、シンプルは、むずかしいに、真鍮のタグのことは一番星のように、小さくに書きました。
小さなタグをお願いした工房と、今度はアクセサリーを。子どもの頃から石を拾ってきた手と、金属と石をあつかい続けてきた手が、ひとつの指輪の上で出会いました。まずは指輪から。これからピアスやネックレス、ブレスレットへと、すこしずつ増やしていく予定で、新しいデザインも、いま工房と一緒に詰めているところです。
星のなごりを、指もとに
石は、地球より年上の物質からできています。わたしたちの足もとにある石をかたちづくる元素は、大昔の恒星が爆発したときに生まれ、宇宙をただよって、この惑星になりました。いま手のひらにある一粒は、遠い星のなごりです。【stardust】という名前は、そこから付けました。
選んだ石は、ペリドット、ムーンストーン、ブラックオニキス、ゴールデントパーズ、ブルートパーズ、ラブラドライト、アメジスト、そして海から届くコーラル。ペリドットは雕石にも含まれる鉱物で、宇宙から届く石ともいわれています。ラブラドライトは、光の当たり方で色合いが変わって見える石です。
「直感的に、きれいだなと思った石を選びました。全部天然の石なので、表情も、醸し出す雰囲気も、色合いも、一粒一粒違う。小さな一粒だけれど、宇宙のエネルギーがぎゅっと凝縮しているものだと思っています」
宇宙がつくった石を、宇宙の箱に
指輪を収める箱は、同じ工房の職人たちがひとつひとつ手づくりした紙の箱です。その箱に、岩野が宇宙を描きました。全部で48個。ひとつとして同じ箱はありません。
「一個一個の小さな宇宙が、並ぶと大きな宇宙になる。ひとつひとつ不揃いな宇宙の箱が、ひとつに合一して、拡張し続ける。宇宙がつくった天然石を、宇宙の箱に収める。そういうコンセプトでつくりました」
第一弾の指輪は、10月の桐生のアトリエショップで発表します。
石を拾っていた子どもは、石を留める大人になりました。手にとってくださる方のもとで、遠い星のなごりが、その人の毎日と一緒に過ごしていきます。
作品【stardust】に寄せた、岩野久美子の想い この指輪をつくった、ネパールのアクセサリー工房を訪ねた日のこと 真鍮のezuタグができるまで ezuが、ネパールでものづくりをする理由
記事執筆:ezu編集部
監修:岩野久美子(ezu designer)