一番星のように、小さく。作品に添える、真鍮のしるし

一番星のように、小さく。作品に添える、真鍮のしるし

ezuの作品に、真鍮の小さなしるしが加わりました。

ひとつは、作品に縫い付ける、ezuのネームタグ。もうひとつは、ezuのためだけにつくる、専用のボタンです。どちらも、カトマンズのアクセサリー工房で、職人の手から生まれます。

布に織り込む織りネーム、紙に描く絵図につづく、三つ目の小さなしるし。今日は、この真鍮のしるしのことを書いておきたいと思います。

ストールの端に付いた、真鍮のezuタグ

金でも、銀でもなく

しるしの素材は、数ある金属のなかから、真鍮を選びました。金でも、銀でも、ステンレスでもなく、真鍮です。

理由は、経年変化にあります。真鍮は、使っていくうちに少しずつ色が深くなっていく金属です。手にふれ、時間を重ねるごとに、味わいが育っていく。ezuの作品は、使い手のもとで記憶の器として育っていくものだと考えています。服とともに時間を重ねて、服とともに変わっていける金属。それが、真鍮でした。

夕暮れの、一番星

タグの大きさは、1.5cm×0.5cm。指先にのるほどの、小さな一枚です。ブランドタグとしては、ずいぶん控えめな大きさだと思います。

この大きさについて、デザイナーの岩野はこう話しています。

「真鍮は光る素材だから、そんなに大きくなくていいなと思って。日が暮れてきて、昼から夜に変わるときに、星がひとつだけ見えたりするでしょう。ああいう感じ。夕暮れどきに見える、一番星みたいなイメージです」

遠くからは、ちいさくキラリとするだけ。近づいた人にだけ、ezuと刻んであるのが見える。主張するためのタグではなく、見つけてもらうためのしるしです。文字は、ezuのブランドフォント。布の織りネームと同じ文字が、素材を替えて、金属にもいる。岩野に意図を尋ねると、「むしろ違うことのほうが変だと思う」と、当然のことのように答えが返ってきました。

ヘリンボーンの帽子に、小さく光る真鍮のezuタグ

真鍮の板から、一枚ずつ

タグは、カトマンズのアクセサリー工房でつくられています。真鍮の板にezuの文字を打刻し、職人が糸鋸で、一枚ずつ切り出していく。0.2mmの厚みの違いにこだわる、プラビンさんの工房です。

工房に立てかけられた、大きな真鍮の板
真鍮の板から、ezuのタグを一枚ずつ切り出していく
切り出されたezuのタグの山

押し花の、ボタン

もうひとつの真鍮のしるしが、専用のボタンです。カーディガンのための、押し花のかたちをしたボタン。「押し花みたいなデザインで、ボタンをつくりたいと思っていた」という岩野の絵を、工房の手が金属にしました。

押し花の刻印が入った、真鍮のボタン

つくり方は、手の仕事そのものです。真鍮を切り抜いて、金鍤で細かく叩いて丸みを出し、角をやすって、ボタンに仕上げていく。

金鍤で、真鍮を細かく叩いていく

ボタンの厚みが0.2mm違えば、表情が変わる。そう話すプラビンさんに、岩野はデザイナーとして深く頷いていました。「それがデザインの世界だし、0.2mmでも違えば表情が変わるのが面白くて、やっているわけだから」。

ezuのボタンといえば、これまでは貝ボタンでした。真鍮のボタンとの使い分けを尋ねると、岩野の答えは、やはりシンプルでした。「この服には真鍮の色合いや質感が似合うな、というものに使っていこうと思っています」。素材が先にあるのではなく、服が先にある。ボタンも、服のデザインの一部です。

真鍮のしるしは、すこしずつ仲間を増やしています。粒立つ表情の丸いボタン。植物を刻んだ、小さなプレート。どれも、同じ工房の手から生まれています。

粒立つ表情の、真鍮のボタンたち
布の端にとめた、植物を刻んだ真鍮のプレート

あなたは織りタグね、あなたは真鍮タグね

この真鍮のタグは、ネパールやモンゴルの工房から作品が届いたあと、日本で、岩野が一個ずつ縫い付けています。この作品なら、ここ。一個ごとに場所を考えながら、針を入れていく。どこに付けるかに決まりはなく、その作品の全体のバランスで、直感が決めます。

カシミヤのニットに、真鍮のezuタグを縫い付ける

どの作品に真鍮のタグを付けて、どの作品に織りネームを付けるのか。それも、決めていません。岩野は、あなたは織りのタグね、あなたは真鍮のタグね、と作品と対話しながら、一つずつ選んでいくのだと言います。しるしは規格ではなく、その作品にいちばん似合うものが、最後に選ばれます。

ボタンも、同じです。水牛の角から得られた黒いホーンボタンの列に、真鍮のボタンをひとつだけ。そんな混ぜ方が生まれることもあります。

黒いボタンの列に、真鍮のボタンをひとつだけ

星を探すように

真鍮のタグが付いた最初の作品は、9月のアトリエショップから並び始めます。モンゴルのショールをはじめ、一部の作品に。ネパールの手編みのセーターや、そのほかの作品にも、付くかもしれません。

どの作品にこのしるしが付いているかは、決めすぎずにおきます。アトリエショップで作品を手に取ったとき、夕暮れの一番星を探すように、小さな光を見つけてもらえたら。

作品に添える小さなしるしと、この工房のことは、こちらの記事にまとめています。

真鍮の板から、ezuのタグが切り出されていく様子は、こちらの短い動画でご覧いただけます。

記事執筆:ezu編集部
監修:岩野久美子(ezu designer)

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