ezuは、衣服のほかに、働く人の服もつくっています。この記事は、そのひとつ、割烹着の話です。料理人のちこさんの「割烹着を作ってくれない?」という一言から生まれ、半年ほどかけて、黄色、ピンク、青など色違いの5着を届けました。写真の一着は、同じ型で仕立てた朱赤。素材はリネン100%で、日本で縫っています。
一言から始まった
ちこさんは料理人です。2006年に仲間と「御食事ゆにわ」を立ち上げ、食べ方を変えると生き方が変わる、という考えで活動を続けてきました。ezuの服を長く着てくれている人でもあります。その人が、厨房で着るものを頼んでくれました。
岩野が考えたのは、一枚ではなく、色違いの一揃いでした。届いた5着を見て、ちこさんはこう言っています。「料理場に立つ前に、その時の自分の気分に合わせて色を選ぶだろう、というところまで理解されている」。厨房に立つ前に今日の色を選ぶ時間も、割烹着の一部として考えました。
動きやすく、洗いやすく、長く使えるように仕立てています。
仕立て
首元はスクエアに開き、胸に前当てを重ねています。腰の左右には、手がすっと入る大きなポケットをふたつ。袖口はゴムで絞ってあるので、腕を上げても袖が落ちてきません。
背中は、貝ボタンで留めます。ひとつずつ表情の違うボタンが、背中の中心に縦に並びます。首元の内側には、服と同じ織りネームを付けました。
生地はリネン100%。色は朱赤です。着丈106cm、身幅61cm、裄丈63cmのひとつのサイズで、体をゆったりと包みます。
「行くぞ」の一着
ちこさんにとって、この割烹着は厨房に立つときに「行くぞ」と気持ちを整えてくれる、お守りのような存在になっています。自分で洗って、干して、手をかける。そうするうちに服に気持ちがこもり、育っていく。「自分でそこから育てていける服なんだよ」と、ちこさんは言います。
服は、つくり手の手を離れたあとも生き続けます。厨房で何年も着られて、記憶が宿って、その人だけの一着になる。割烹着も、ezuの服と同じです。
働く人の服
ezuは、これまでにも働く人の服をつくってきました。静岡県三島市の蕎麦屋「元年堂」さんのマレーシア店、香川県の海辺に佇む「cafe de flots」さんのユニフォーム。動きやすさと快適さという機能性、職場の世界観を映すデザイン性、着る人の心に作用する温かさ。この3つが揃ってはじめて、働く人のための服になると考えています。
割烹着は、その考えを台所に向けた一着です。一人の料理人の一言から始まり、いまはちこさんの厨房で着られています。
記憶が宿り、服は完成する。料理人ちこさんが語る「わたしだけの一着」 元年堂さんのスタッフユニフォーム cafe de flotsさんのユニフォーム スタッフユニフォーム制作のご案内
記事執筆:ezu編集部
監修:岩野久美子(ezu designer)